
昆 弘史
Kouji Kon
るんびにい美術館岩手県
るんびにい美術館アトリエを拠点に活躍した昆。その制作活動の始まりは、ささやかなものでした。小さなノートをポケットに入れて持ち歩き、時折ありあわせのペンでシンプルな人の形を描き込む。丸い輪郭の中に、丸い目、棒のような鼻。
「これ、○○さん。」そう言って、そばにいる人にノートを見せて会話の種にすることも、彼の楽しみであるようでした。その描画は年を経てゆっくりと密度を増していき、やがて大画面の作品を手掛けるようになりました。
モチーフは「人」だけです。とてもシンプルな人のかたちを、一度描いた上からさらに幾たびも重ねていくことで、画面はいつしか強烈な存在感を放つものへと変化していきます。
少年時代に障がい児支援施設に入所し、その後の人生を長く施設で過ごした昆。朗らかでありながら、いつも人恋しそうな気配を漂わせていました。ゆっくりとした筆運びで少し描いては、「見てごらん」と笑顔で周りの人に声をかける一方で、制作中の彼の顔には時折険しい表情が浮かんでいました。彼の胸の内に何が去来していたのでしょうか。作品には、幾重にも湧きあがる昆の複雑な想いが投影しているように思われます。
国内外で評価を受け、作品は2010年にパリのアル・サン・ピエール美術館で開かれたアール・ブリュット・ジャポネ展にも出展されています。
2013年1月、昆は惜しまれながら世を去りました。
「これ、○○さん。」そう言って、そばにいる人にノートを見せて会話の種にすることも、彼の楽しみであるようでした。その描画は年を経てゆっくりと密度を増していき、やがて大画面の作品を手掛けるようになりました。
モチーフは「人」だけです。とてもシンプルな人のかたちを、一度描いた上からさらに幾たびも重ねていくことで、画面はいつしか強烈な存在感を放つものへと変化していきます。
少年時代に障がい児支援施設に入所し、その後の人生を長く施設で過ごした昆。朗らかでありながら、いつも人恋しそうな気配を漂わせていました。ゆっくりとした筆運びで少し描いては、「見てごらん」と笑顔で周りの人に声をかける一方で、制作中の彼の顔には時折険しい表情が浮かんでいました。彼の胸の内に何が去来していたのでしょうか。作品には、幾重にも湧きあがる昆の複雑な想いが投影しているように思われます。
国内外で評価を受け、作品は2010年にパリのアル・サン・ピエール美術館で開かれたアール・ブリュット・ジャポネ展にも出展されています。
2013年1月、昆は惜しまれながら世を去りました。

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