【NEWS】HERALBONY ART COLLECTION 2021

ヘラルボニーは、7月24日に設立3周年を迎えました。

3年間で37の福祉施設、約2,000点のアートデータを契約し、障害のあるアーティストが描いた作品をさまざまなモノ・コト・場所へ展開してまいりました。なかでも、起用先のひとつであるアートライフブランド「HERALBONY」では、これまでに約40点の作品をプロダクトに落としこみ、販売しています。

そして、9月1日より障害のあるアーティスト15名による、20作品がHERALBONYの新定番柄として登場します。
15名それぞれのアーティストの個性あふれる、異彩を放つ作品をお楽しみください。
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新アーティスト・作品紹介
Fumie Shimaoka 嶌岡史絵
「宇宙」
所属:個人(​​大阪府)
幼い頃から、机に向い集中して手指を動かす作業が好きで、モンテッソーリ教室に楽しく通っていた。折り紙が得意なところを見込まれて、ホテルでナプキン等のリネンを畳む仕事に就き、余暇として習字やリリアン、編み物をしながら過ごしていた。そんな中、ある日突然急性水腫を発症し、一時は失明も危惧されたが奇跡的に回復し、コンタクト治療によって視力を矯正できた後から、自ら手持ちの水性ペンで大胆に細やかな線画を描き始めた。
彼女の作品の特徴は、独特の色彩感覚でコツコツとちいさなマルやセルを繋げ、好きなモノや想いを描く。当初は、モノクロの作品を描いていたが、次第にたくさんの色を持ち、形を変え、欠片は増殖していき徐々に現在の作風が確立されていった。
高校卒業時の色紙に彼女が記した座右の銘は、「人生予期しないことが起こるからおもしろい」。
現在は、作業所に通いながら、家族と夕食を囲んだ後のテーブルで、のんびりと創作活動を楽しむ毎日を過ごす。
Takashi Anzai 安斎隆史
「かぶと」
所属:unico(​​福島県)
身の回りの雑誌や新聞の折込広告のなかから、写真や単語など求める情報を巧みに拾い出し、意思表示を行う。感情表現も豊かで、表情や身振り、言葉にならない声のトーンなどで表出される他、絵を描くこともそのひとつである。楽しみな行事、納得がいかなかったこと。日々の天気や、季節のうつろい。安斎の心の動きが色彩となり、大胆な筆致やストロークが繊細に重ねられていく。
「かぶと」と題された本作は、五月の節句の時期に、広告で見つけた兜飾りに触発されて制作されたものだ。色とりどりのクレヨンを用いた大胆な線のストロークを、画面全体に描き重ねていく作品が多い安斎だが、本作はクレヨンを小さな「たんぽ」に持ち替え描いている。青、黄、赤、水色、ピンク、黄緑。色は不均質に混じり合い、画面の底から、なにかとらえどころのない、いのちの源のようなものが湧き上がってくるような予感がするような引力のある作品だ。
Miyuki Higo 肥後深雪
「しかくとまるとさんかく」
「まる」
所属:アトリエやっほぅ!!(京都府)
アトリエやっほぅ!!ではみんなのお姉さん的存在で、その時の気分で色鉛筆、水彩絵具、刺繍糸などを使い分けて自由な作品制作をしている。作品に登場する生き物や植物は可愛らしいものから作者本人にもわからない不思議なものまで様々。どの作品も優しさがにじみ出るカラフルな世界が広がっている。
Yuh Mitani 三谷由芙
「リンゴのブーケ」
所属:JOY俱楽部 アート部門 アトリエブラヴォ(福岡県)
1988年福岡市生まれ。日記の隅に描いていたキャラクターの絵が養護学校の先生の目にとまり、スペシャルオリンピックス日本・福岡のカレンダーにイラスト採用、絵画の仕事を志し翌年アトリエブラヴォに。色鉛筆画や淡い色の水彩画、鮮やかで太い線のアクリル画も描く、独特の形の捉え方が楽しいアーティスト。2015年(社福)夜須高原福祉村やすらぎ荘浴室に壁画制作、2016~7年4回に渡りリョーユーパンのパッケージに作品採用など、多くの人の目を楽しませている。
 
 
Moriya Kishaba 喜舎場盛也
「四角」
所属:わかたけアート(​​沖縄県)
彼の文字への執着は幼少の頃から続いている。自室で こっそり制作していた作品が2001展で紹介されると、たちまち 県外から、そして国外からも注目を集める。最後まで埋められ たものは2~3枚しかなく、大半は途中で止まっている。その後、家庭だけではなく、わかたけの創作活動の時間でも文字を描くようになり、それらの作品はなぜか縦方向に描き進んでいる。作品が評価されたことや世間の注目とは無縁に、ここ12年ほど前から漢字ではなく、もっぱら色とりどりのベル・星を、そしてこの8年間は小さなドットを描くことに熱中している。まるで染め物のよう に、裏面ににじみ出るまで執拗に塗り込み、そのこと自体を楽 しんでいるかのような制作風景である。そこには彼のこだわりと独特の手法がみられ感動を覚える。彼の作品は、国内外で繰り返し紹介され、日本美術全集(小学館、2016年)にも掲載された。
Sachiko Miyazawa 宮澤祥子
「桜のじゅうたん」
所属:のぞみの家(東京都)
「指絵の具」を両手にたくさんつけてキャンパスを抱えるように描く。突然の音や賑やかな雰囲気を好む宮澤。躍動感がありながらも優しさのあるタッチの中には、入り交じる感情が多くの色彩で表現されている。
時間をかけて幾重にも色を重ねて描くことで、絶妙な色の混ざりが生まれる。
SATO
「Festival」
所属:Boston Special Needs(ボストン)
1999年、米国ボストン生まれ。本名・本山慧(もとやまさとる)。軽度難聴をもつ低出生体重児として、小さく生まれ、ゆっくり育つ。のちに、知的障害を伴う自閉症スペクトラムと診断される。10歳のサマーキャンプで水彩画と出会う。以来、毎日1枚の絵を描き、その作風はゆるやかに変化しつづけている。地元のファミリーサポートグループ「ボストンスペシャルニーズ(BSN)」メンバーとして、数々のアートフェアに出品。
 
 Yukihito Okabe 岡部志士
「Hoo!Hey!」
所属:希望の園(三重県)
1994年生まれ。自閉症。
クレヨンを塗って面を創り、色を消すようにニードルで削ってできたクレヨンのカスを集めて、粘土のようにして遊びながら作品を創る。
 最近ではボードやキャンバスに、クレヨンにポスターカラーを加え着色した面をニードルで削るといったように、制作方法にも幅がでてきている。実はその削りカスを集めてできたかたまり(本人はコロイチと呼んでいる)こそが本人にとって本当の作品であり、結果としてできた絵画はただの削り残したカスであり興味はない。