地味な服ばかり着ていた私が、ヘラルボニーのワンピースを着る理由【堀井美香インタビュー】
ヘラルボニーを応援してくださっている方々に話を聞きにいく連載「HERALBONY&PEOPLE」。この連載では、普段からヘラルボニーの活動やビジネスに共鳴してくださっているあらゆるジャンルの皆さんにインタビューをしていきます。アート・ビジネス・デザイン・福祉・文化、さまざまな領域で「異彩」を放つ皆さんにとって「ヘラルボニーとはどのような存在なのか」を伺います。
第3回は、フリーランスアナウンサーとして活躍中の堀井美香(ほりい・みか)さんが登場。昨年ヘラルボニーのオンラインストアで購入された、異彩作家・fuco:の作品「シアワセピンク」のワンピースと、そこから生まれた「広がり」についてお話を伺いました。
「応援したい!」その気持ちで購入した一着のワンピース
ーー堀井さん、いつもヘラルボニーを応援していただきありがとうございます。昨年ご自身のSNSに投稿された「シアワセピンク」のワンピース姿は大反響で、それをきっかけに世代を問わずたくさんの方に興味を持っていただきました。
ワンピースについて詳しく伺っていく前に、改めて堀井さんとヘラルボニーの出会いを教えていただけますか?
堀井美香さん(以下、堀井):私が担当するPodcast 番組「WEDNESDAY HOLIDAY(ウェンズデイ・ホリデイ)」に代表の松田崇弥さんがゲストでいらっしゃったのが最初の出会いでした。会社自体は存じ上げていて、ずっと気になっていたんです。
>> #34 アナウンサー堀井美香×ヘラルボニー代表取締役社長・松田崇弥「常識?思い込み?当たり前を疑うことで見えるもの」
堀井:ラジオ番組の中でヘラルボニーの立ち上げに至るまでのお話や、今チャレンジされていること、そして将来的に目指していきたい方向性などを伺って、なんだか無性に応援したくなってしまって。でも、どういう応援の仕方があるんだろう?と考えていたんです。
番組でお会いする前にホームページやECサイトも拝見していて、本当に素敵なプロダクトやアート作品がたくさんあることは存じ上げていたので、それを自分で身につけたり、そばに置いたりする形で応援しようと思いつきました。
ーーそれがSNSでの投稿に繋がったのですね!
堀井:はい。ラジオ番組中で披露された松田さんのエピソードの一つ一つに、誰かを幸せにしたいという想いが込められていて、とても素敵だなと感じました。私もその素敵な想いとご一緒したい、その先に生まれるものをこの目で見てみたい。そんな気持ちが湧き上がってきて、自然と応援団になっていました。
あとは、もう純粋に商品が魅力的でした。実は、私、最近あまり服を買わないんです。断捨離もしていて、クローゼットの中にあるものもどんどん減らしているくらいです。なので、ヘラルボニーのオンラインストアで購入した「シアワセピンク」のワンピースはかなりの例外で(笑)。
考えてみると、この一着は洋服や衣装というよりも、もっと「シンボリックなもの」として購入したんだと思います。ヘラルボニーを応援するアイテムとして手元に置いておきたいな、と。
ヘラルボニーは「100円でクッキーが売られる世界」を変えた
ーーそこまで「応援したい!」って思っていただけた理由を、掘り下げて教えていただいてもいいですか?
堀井:ヘラルボニーさんのビジネスのすごいところって、アート作品やそれを起用したさまざまな商品をちゃんと「価値」として社会に届けたところだと思います。これまでも障害のある方が作ったクッキーや雑貨などの商品や、アート作品は市場に流通していました。でも、それに本来の「価値」に見合うだけの正規の値段がつけられていたかといえば疑問に感じていました。
実際、クッキー1袋100円とか、極端に安い値段がつけられて、そこには「とりあえず誰かの手元に届きさえすればいい」という感じで流通させられているような印象を持たざるを得ませんでした。買う方にもどこか「買ってあげてる」という感覚が紛れ込んでいて、購入するという行為が商品自体の「価値」からどんどん離れていってしまう。
それをヘラルボニーは大きく変えましたよね。しっかりとした「価値」をつけただけでなく、作家さんにとって永続的に「仕事」になるような仕組みを生み出した。これは本当にすごいと心を打たれました。
ーー堀井さんが購入してくださった「シアワセピンク」も、今日着てくださっている新作「ハジメテノシカク」も、とても鮮やかな一着ですが、普段からこういうワンピースはよく購入されるのですか?
堀井:いえ。普段、この手の服は絶対に買わないんです(笑)。でも、ヘラルボニーで一着購入させていただくなら「これだな!」って迷わず決めました。SNSにアップしたら反響がすごくて。Xでも皆さん「これ、かわいい!」「どこのですか?」って盛り上がってくださいました。
それからも、イベントやステージの衣装として何度か着ています。本当に鮮やかで目に留まるので、会場でいろんな方に「おもしろい柄ですね!」「きれいな生地ですね!」と声をかけられます。そこからヘラルボニーの話に発展して、まさに会話のきっかけになる一着ですね。
私の身につけていたワンピースを見て、ヘラルボニーに興味を持ってくださった方、同じワンピースを購入してくださった方、あるいはオンラインストアやポップアップで別の商品を購入してくださった方などなど、いらっしゃいました。この一着から輪が広がったことはありがたいですね。
ロスコやポロックの作品と同じように見ていた
ーー普段、アート作品は購入されるのですか?
堀井:以前はよく買っていたことがあって、アナウンサー時代にはアート作品を買っては会社のロッカールームに大切にしまっていました(笑)。自宅に持ち帰ると、家族から「えー、買ったの?」と言われてしまうので。土日などにこっそりロッカールームから取り出して、空気にさらし、最後に写真を撮るという行事をやっていました。
好きな作家さんはたくさんいるのですが、現代アート中心に、画廊やギャラリーをよく周っていましたね。ヘラルボニーの作家さんの作品は、障害のある方によるアート、アール・ブリュット、アウトサイダーアートという枠ではなく、純粋に魅力的な作品としてオンラインストアなどで見ていました。マーク・ロスコやジャクソン・ポロックの作品も好きでよく鑑賞していたので、何の違和感もなく自然と自分の中に入ってきましたね。
ーー「シアワセピンク」や「ハジメテノシカク」という作品をまとっていただいたわけですが、「アート」をまとうという体験について、堀井さんは何か感じられることはありますか?
堀井:私はまさに纏うアートとしてワンピースを買ったんだと思います。「ヘラルボニーの物を持ってる」というシンボルとして、あるいは身につけることによって誰かにヘラルボニーを勧めるアイコンとして捉えています。単にきれいなお洋服を着ているというだけではなく、そういう意味合いがありますね。
ハードルが高い柄物ワンピを着る「いいわけ」をくれた
ーー堀井さんにとっては、ワンピースを買うことは、アート作品を買うことに近いかもしれないですね。ただ、鮮やかな「アート」をお洋服としてまとうことをハードルが高いと感じられる方も一定数いらっしゃるのではと思っていて。
堀井:私、実はアナウンサー時代からかなり地味な服装が多いんです。テレビ業界にいた当時から、「変に悪目立ちしたくない」という気持ちが強かった。だから私のクローゼットは真っ黒なんですよ。なので、イベントやステージの衣装以外でこのワンピースを着る時は、結構勇気がいるんです(笑)。
でも、自分がこんなに主張のあるワンピースを着れているのは、先ほどもお伝えしたとおり、この服をアイコンとして捉えているからだと思います。勇気が出ない自分への「いいわけ」になっているというか。
ヘラルボニーのワンピースをまとうということは、作品のストーリーや作家さんの想いをまとうことでもある。単に鮮やかなお洋服をまとうとは違うんですね。その意味で、ヘラルボニーの一着からがとてもいい「きっかけ」をいただけると思います。
ーー自分の好きなアートをまとうことは、自分自身の個性を表現することに近しいのではと考えています。それは、ヘラルボニーがお客様に提供していきたい価値の一つだと思っているので、そう言っていただけてとても嬉しいです。
堀井:それでもなかなか勇気がでない、という方は、例えば、黒のジャケットの下に差し色として入れたり、白のカーディガンを羽織ったり、抑え目な色の無地と組み合わせることをおすすめします。差し色としてちょっと「個性」を見せる。そういう形であれば、私のように普段地味目の服が多い人でも、無理なくチャレンジできるのではないでしょうか。あとは、見える面積を小さくしてみてもいいかも。上にパーカーを着れば、かわいいロングスカートを着ているという感じになるのでおすすめです。
堀井:でも、不思議と着ているとだんだん慣れてくるんですよね。今日着ている一着はビタミンカラーで、純粋に着ていると元気が出るのもいいですね! 最初は勇気がいるかもしれませんが、着てみるとエネルギーをもらえるので、普段地味目のファッションの方もチャレンジしてみて欲しいです。
ーーエネルギーをもらえる感覚、とてもよく分かります。異彩アートが持つ生命力や原動力を感じていただいてとても嬉しいです。これからもヘラルボニーの商品によって、堀井さんの毎日が異彩という名の彩りで満たされることをお祈りしています。
編集:海野 優子(ヘラルボニー)
文:まるプロ
写真:面川 雄大
【残り5点】堀井さんがまとうワンピース「シアワセピンク」
[HAND×HERALBONY]ワンピース「シアワセピンク」(残り5点)
※「ハジメテノシカク」のワンピースは完売しております。
【残りわずか】アートをまとう、体験をあなたに。
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