“キュニキュニ”で描かれる木村全彦の世界。表現するのは光のプリズムあるいは。「聴く美術館#15」
福祉実験カンパニー・ヘラルボニーの契約アーティストにフォーカスするポッドキャスト「HERALBONY TONE FROM MUSEUM〜聴く美術館〜」。
俳優・映像作家・文筆家として活躍する小川紗良さんと、ヘラルボニーの代表取締役社長の松田崇弥(たかや)が聞き手となり、アートに耳を澄ませながら、作品の先に見えるひとりの”異彩作家”の人柄や、これまでの人生に触れていきます。
今回のゲストは、色鉛筆の強い筆圧によって独自の画風を生み出す木村全彦(まさひこ)さんと「アトリエやっほぅ!!」の中島さん。木村さんの作品の代名詞とも言える“キュニキュニ”と呼ばれる模様は、どのようにして生まれたのか。「アトリエやっほぅ!!」を訪れて衝撃を受けたという、副社長で崇弥の双子の兄・文登(ふみと)も交えてその秘密にせまります。
# バラエティ大好き
Masahiko kimura「アザラシ」
崇弥:本日は京都の「アトリエやっほぅ!!」という福祉施設からですね、木村全彦(まさひこ)さんという作家さんをお招きしております。写真を見ながら作品を描かれる方なんです。
小川:実は、この間のヘラルボニーのイベントで生で作品を見たんですよ。細かな模様がたくさん入ってるんですよね。
崇弥:そうなんです。例えば今手元にある「アザラシ」という作品は、遠目から見るとアザラシなんですが、近くから見るとモザイク画のようにバラバラバラっといろんな模様があるんです。アルファベット「E」みたいな模様がずらっと並んでるんですが、実はこの模様は“キュニキュニ”と呼ばれておりまして。
小川:キュニキュニ?
崇弥:はい。その“キュニキュニ”の秘密についても何かお聞きできたらいいなと。
文登:うん。聞きたいね。
小川:いい響きですね。でも、近くで作品を見たときは「なんだろう、この模様?」とじっと見てたんですけど、一歩引いて見るとアザラシだっていう作品なんですよね。
崇弥:そうなんですよ。
小川:視点によって全然変わるのがすごい面白かった。
崇弥:ですよね。最初は「あれ?うん?アザラシか!」っていうびっくり感から、だんだん(作品が)わかってくるんです。
文登:そうなんです。楽しみ方が全然違う作品ですよね。
小川:またこのアザラシ、貫禄があるんですよね。すごい素敵。
文登:重厚感ありますよね。
小川:ということで、今日は木村全彦さんと「アトリエやっほぅ!!」のナカシマさんにリモートで繋がっています! よろしくお願いします。
ナカシマさん:よろしくお願いします。
木村さん:よろしくお願いします。
小川:今日2人のリモート画面の背景がすごい素敵なんですけど、こちらは?
木村さん:Perfumeの絵。「ブルー トレイン」の絵!
Masahiko Kimura「ブルー トレイン」
小川:へぇ〜! 中島さんの背景はPerfumeで、木村さんの背景が「ブルー トレイン」と。これはどっちも木村さんの大好きなものっていうことですか?
ナカシマさん:そうですね。キムさん、いいですか?喋っていいですか?
崇弥:木村さんが見せてくれてる!
Masahiko Kimura「パフューム 2」
中島さん:(リモートの背景に)何の絵がいいですかってさっきお聞きしたら「ブルー トレイン」って言われました。
小川:へえ。Perfumeも大好き?
中島さん:木村さん自分で言う?
木村さん:自分で言います。
中島さん:はいはい。
木村さん:Perfume、好きです!
小川:へえ〜! どんなところが好きなんですか?
木村さん:のち
小川:のっちさんが好きなんだ!
崇弥:木村さんはのっちさん以外もね、お好きですよね。お笑いとか。HGさんとか。
木村さん:しずる。
小川:しずる!
崇弥:木村さん、このあいだしずるさんに別件のラジオでお会いしましたね!
文登:そっかぁ。しずるが好きなんだ。タモリさんも好きですよね?
木村さん:タモリさん。
文登:ねぇ。
木村さん:タモリさん!
中島さん:タモリさんの作品もあります。「ブラタモリ」の作品も。
崇弥:私の兄も「ブラタモリ」大好きです。
中島さん:「笑っていいとも!」とかね。
文登:めちゃめちゃ好きそうがいいですね。、本当に好きなんだなっていう。
小川:タモリさんはこれまでのポッドキャストの中でも好きっていう作家さんが多かったですし、(崇弥・文登の)お兄さんの翔太さんもお好きっていうことで、なにか惹きつけるものがあるんですかね?
崇弥:ね。タモリさんはなんで好きなんですか?・
木村さん:笑っていいとも。
中島さん:今ちょっと「笑っていいとも!」って言われたんですけど、やっぱりバラエティーが好きなので、何かそういう司会されてて、前は毎日「笑っていいとも」を毎日見られてたかな。
木村さん:うん。
中島さん:その頃は、何か独り言で探しながら「笑っていいいとも!」の一番最初、「いいとも青年隊」が出てくるところから全部言うんです。もう1時間バージョンで。
小川:えぇ! 再現されるってことですか。
中島さん:もう、再現。
崇弥:すごい……。
Masahiko Kimura「笑っていいとも」
中島さん:木村さんはそういうネタを何個か持っておられてて。ネタっていうかなんというか……(笑)。
崇弥:あはは!
中島さん:バラエティーが好きやから、タモリさんも好きなんちゃうかなと勝手に僕は横でいつも思ってますけど。あと、音楽番組ね。あれもタモリさんでしたっけ?
木村さん:タモリさん。
中島さん:そんなふうに、やっぱり好きなテレビ番組にタモリさんが出られてるから好きというのもあるかもしれませんね。うん。
小川:基本的に絵で描かれるのは好きなものが多いんですか?
木村さん:さっと、うん……。
中島さん:ちょっと代弁しますと、いつも木村さんに次何を描くかお尋ねしていて、パっと出てくるときもあるんですが、そんなに希望がないときもあるんですよね。好きなミュージシャンというか芸能人とか言うたらスパっと出てくるんですけど、漠然と言うとなかなか出てこないんで。「アザラシ」も動物描きたいって言われて、いろんな動物の画像を揃えて、その中から選ばれたという感じ。うん。やっぱり一緒に決めることが多いですね。
崇弥:やっぱり木村さんの作品の特筆すべき点って、筆圧だと思うんですよね。かなり近くから見ると凄まじい筆圧で描いてるから、ちょっと光ってるような、何か宝石のような感覚があると思うんです。これ、紗良さんにクイズなんですけど、この“キュニキュニ”って何の画材で描かれてるかわかりますか?
小川:え、なんだろう。絵の具とか?
崇弥:絵の具じゃないんですよね。全彦さん、これ何で描いてるんでしょう?
木村さん:いや、鉛筆。
小川:えぇ〜!色鉛筆でこの濃さ出るんですか!?
崇弥:そうなんですよ! 色鉛筆で、ガリガリガリってすごい筆圧で描いて、これだけの絵が生まれてるんですよね。
小川:すごい……。
中島さん:筆圧がすごいからやっぱり紙が薄い画用紙だと破れてしまうので、すごく分厚い画用紙を使っています。油性の色鉛筆を使ってるので、より色もいいと言われますし、よく油絵と間違えられたりとかも。
文登:あぁ!
崇弥:わかります。
小川:インクを垂らしたぐらいの濃さですよね。
中島さん:それくらい重厚感がありますよね。
小川:そうですよね。それだけ力を込めて描かれるっていうことは、1枚を描きあげるのにけっこう時間をかけられるんですか?
中島さん:(木村さんに向かって)どれくらいかかります? いつもの絵の大きさで。
木村さん:大きい。
文登:あ、手で大きさを表現してくれてる。
中島さん:1週間、2週間、3週間、どうでしょう。
木村さん:へいせいに、うん。
中島さん:うん。3週間ぐらいですかね?
崇弥:すごい速いね。
中島さん:最近なんかスピードアップしてる感じもしますけど、やっぱりね、すごく力入れてるのもあるし、細かく描かれるモチーフによります小さい作品でも3週間ほどかかりますね。
# キュニキュニの謎
文登:この“キュニキュニ”が生まれたきっかけは、何だったんですかね?
中島さん:ご本人に聞いたこともあります。木村さんほら、いつも木村さんの模様あるやん? “キュニキュニ”。わかる?
木村さん:わかる。
中島さん:あれは何で生まれてきたんですか?
木村さん:……いす。
崇弥:イス?
中島さん:なになに? いす?
木村さん:いっしゅうかん!
文登:一週間で生まれた?
木村さん:3週間!
中島さん:ちょっとまたね、僕が木村さんの思ってることを代弁します。僕が陶芸の講師をやってたのもあって、はじめは陶芸を一緒にやってたんです。そのときにニードルで土を掘ってたんですよ。その模様がなんか面白いということで描き始めたんですけど、今見るとその陶芸に描いていたものや今の色鉛筆に描いているものって細胞にも見えるし、くさび模様だとか、光のプリズムにも見えるし、評論家の皆さんからはいろんなことを言われます。最近は資料をプリントアウトして描かれるので、その印刷インクのドットが見えてるのかなとか。でも本人からは、いつも言ってもらえない。わからない。
崇弥:ほぉ〜、教えてほしいなぁ。
中島さん:木村さん、今日、教えてください!
小川:“キュニキュニ”ってなんですか?
(木村さん、何かを見せる)
文登:“キュニキュニ”を描いてるのを見せてくださってますね。
中島さん:あれはなんですか?
木村さん:プリズム
中島さん:やっぱりね、前に言ったことがちょっとね、連続してずっとあるんでね(笑)。
崇弥:気になるねぇ。
木村さん:プリズム! キュニ、キュニ、描いた。
中島さん:そうだね。描いた。横にいる者として僕が気になるのはね、もしかしたら“キュニキュニ”が消えてしまうこともあるんかなと思うんですよね。ずっとね、続くとは限らないですよね。そう思うと急に寂しいけど、今のところはいつもね、続いてるなと思います。
小川:ちなみにいつごろこの“キュニキュニ”は出てこられたんですか。
中島さん:「アトリエやっほぅ!!」は2008年からやってるんですが、初めの方はなかったんですよ。この模様は。もう本当に5作、10作目ぐらいから出てきて、木村さんの後ろにバーチャル背景でで出てる「ブルー トレイン」って作品には、まだ模様がよく見ないとわからないくらい細かくて、最近はそれが最近はちょっと大きくなったりしてます。“キュニキュニ”って言っても、変化がすごくあるんですね。
小川:確かに、後ろの電車の側面とか、Perfumeの腕ら辺も、“キュニキュニ”にらしきものが見えます。
崇弥:木村さんが「アトリエやっほぅ!!」に入られたきっかけはなんだったんですか?
中島さん:(木村さんに向かって)なんで「伏見学園」に来ましたか?
木村さん:伏見学園。
中島さん:「アトリエやっほぅ!!」の母体は伏見学園と言いまして、木村さんは学校を出られてすぐ来られたんです。お母さんから聞いた話では、もともと学校で陶芸をやっていて、うちで陶芸ができるからということで選ばれたと聞いたことありますね。
崇弥:木村さんの作品はすごい人気で、販売するとどんどん旅立っていくんですよ。先日も丸井グループさんの株主総会で木村さんの作品をずらっと展示させていただいて、丸井グループさんにもお買い上げいただきました。そちらは今ヘラルボニーカードの券面デザインとして使わせていただいています。伏見稲荷の赤門のね。木村さん、ありがとうございます。
Masahiko Kimura 「伏見稲荷赤門」
木村さん:ありがとうございます。
小川:これ、伏見稲荷だったんですね!
崇弥:そうなんですよ。赤門のね。「ヘラルボニーカード」とご検索いただければ作品詳細が出てきますので。
中島さん:アトリエの近くなんでね、日々のネタというか、いろいろ描いていてそのなかの一つなんですけど。
文登:さっき陶芸の話がありましたけど、木村さんが掘っていたくさび模様みたいなものが絵になったときに「なんだこれは!?」みたいな衝撃はありましたか?
中島さん:なんだこれは! とはならなかったですけど(笑)、たしかブルートレインの前の作品が「旬の食材」というタイトルの、まさに食材がたくさん並んだ作品がありまして、ちょっとネットで調べても出てくるかもしれませんけど。それは本当に「なんだこれは!」っていう感じでした。一応写真を見て描いたんですけど、魚とか野菜とかがすごく新鮮に描かれてて、お母さんからも「売らんといて」って言われてるぐらいの作品があるんですよ。いきなりそんな作品がボンっときてしまったんでね。
Masahiko Kimura 「旬の食材」
崇弥:なるほど。いや、本当に木村さんの作品はすぐに売れてしまうから、私たちも大切に販売しないと。
# 京都のアトリエを訪れて
文登:木村さんは作品が売れているのとか、どうですか? いろんな人に届いてるのって、どうですか?
木村さん:売れてる?
崇弥:うん。
木村さん:売れてる!
中島さん:売れてるねぇ(笑)。なにかお気持ちは?
木村さん:描いた!
中島さん:ご家族も喜んではるし、いろんなところに飾っていただいてるし、本人も絶対喜ばれると思いますけどね。
小川:絵を描くこと自体は、小さいころからずっと続けていらっしゃるんですか?
中島さん:学校の美術の時間以外ではね、月1回ぐらいアートスペースみたいなところが京都の東山にあって、10歳くらいかな? はっきりはわからないですが、そこに通われていたみたいです。絵の具とか使って描いていて。本格的に絵を始めたのはやっぱり「アトリエやっほぅ!!」に来てからですね。今は月曜から金曜まで、お仕事として描いているので。
文登:陶芸もやられるって伺いました。
中島さん:ちょっとね……陶芸の方は、忙しくなっちゃって(笑)
崇弥:あはは!
中島さん:職員が最後に釉掛けをする必要があるので、なかなかそちらに時間が割けなくて……。でも、実は今日、数年ぶりに焼いてるんです。でも本当にそのぐらい、もう全然やってなかった。
崇弥:もしチャンスがあれば、ヘラルボニーでも陶芸を販売させていただきたいですね!
文登:うんうん。
中島さん:実は数日前、昔木村さんが作った抹茶碗が出てきまして。今はすごいお値段になるんやないかなと(笑)。昔はね、やらしい話、5,000円くらいだったんで。「これは値段がちゃうな!」なんて言ったりしていました(笑)。
崇弥:たしかに! 木村さんの作品もね、どんどん高い価格がついていっているんでね。文登は京都のアトリエにいったんだよね? 最初の衝撃はどうでした?
文登:一番初めに行かせていただいたときに、「アトリエやっほぅ!!」さん自体の空気が、作家さんや職員さんも含めて、すごくアットホームだったんですね。僕、いつも行くたびに、「アトリエやっほぅ!!」さんの雰囲気が、作家さんにとって創作しやすい環境を作ってるんだなって強く感じます。
中島さん:なぜかそう言ってくださる人が多いんですが、それが一番ありがたいです。うちって実質15人ぐらいで創作してて、規模的にはそんなに大きくないからアットホームな感じというのもあるんですが、みんな自由で、本当に好きなことをしてますね。寝てる人もいるし、全然違うことしてる人もいるし、僕ら職員は見守ってるだけで、別にああしよう、こうしよう、というあるというわけでもないし。その辺はやっぱりアットホームというか、独特の空気感があるのかもしれません。あと音楽もね、一番かけたったんですけども、10年以上前からかな? 僕の趣味でもありますけど 、皆さんが好きそうないろんな音楽をかけたりして。それも皆さん嫌がってる感じはないし、すこしは創作のしやすい文化にできてるかな? と試行錯誤はしていますね。
小川:「アトリエやっほぅ!!」では、木村さんも絵を描くだけじゃなくて他にいろいろなことをされてるんですか?
中島さん:あと何してます?絵を描く以外に。
木村さん:つる。折り鶴の絵。
中島さん:絵やな。今、折り鶴の絵を描いてるんですよ。
文登:へぇ! それも楽しみだな。
木村さん:配膳。配膳!
中島さん:お、出てきた。配膳してるね。給食を皆さん食べるので、その配膳をね。
木村さん:大掃除、ストレッチ!
小川:大事。
中島さん:いろんなことやってるね。配膳、下膳、そうだね。あと何年か前まではこの近くの乗馬クラブで、馬房を掃除をしていました。馬がすごく好きなんですよ。
文登:かっこいいですもんね!
小川:あとはやっぱり音楽もお好きなんですか?
中島さん:音楽何が好き?なんでもいいよ?
木村さん:バイオリン!
崇弥:素敵だねぇ!
中島さん:バイオリンって出たのは、もしかしたら外部から講師が来てバイオリンの演奏を聞くことがあるんですよ。もしかしたら、先ほど掃除とかの続きで、そう言われてるのかもしれません。バイオリンが好きっていうのは初めてなんですけど。クラシック好きだったんだ。
木村さん:クラシック!
中島さん:はい。これからはクラシックもかけます(笑)。
小川:Perfumeからクラシックまで、幅広い。
中島さん:オールラウンドにね。
崇弥:木村さんのいちばん好きなものは何ですか。
木村さん:……アザラシ。
崇弥:アザラシ! 素晴らしい。
中島さん:アザラシやった? いままで聞いたことなかったよ! なんでも、音楽もあるやんか。行きたいとこでも、一番好きなものなんですかって質問です。なんでしょう?
木村さん:ダンス。
文登:ダンスを踊ったりもするんですか。
(木村さん、踊る)
小川:あ、踊ってらっしゃる。
崇弥:良いダンスだ。
中島さん:もしかしたら家でPerfume聞きながら、踊ってるんちゃいますかね。
(木村さん、ポーズを決める)
中島さん:いい感じ。いい感じが出てきましたね。
崇弥:ラジオなのが悔しいぐらい!
(踊り続ける木村さん)
文登:止まらない!止まらない木村さん!
小川:躍動感が。
中島さん:今度ね、Perfumeと一緒にね、混ぜてもらって踊りたいね。4人でね。
小川:中島さんはどうですか? 木村さんと今まで一緒に過ごされて、思い出深いエピソードとかありますか?
中島さん:これっていうなんか一番のことはパっと出てはこないんですが、やっぱりね、いろんなとこでイベントにも呼んでいただいて連れて行くと、はじめは緊張されますけど、もう場馴れしてきて、イベントでちょっとウケるようなことがぽっと言えたり、面白いこと言えるようになっていて。ずっと絵だけ描いていると他の方と会う機会も少ないので、木村さんがいろんなとこで人と交流して変わってるんじゃないすかね。
崇弥:そんな木村さんの絵がですね今度見られるんですよね? 日本橋三越で展開されている『異彩の百貨店』というポップアップで(※現在は終了)で原画を販売させていただいております。
小川:木村さんの作品は生で見てほしい! 本当に! 生で見て、距離感で変わることを感じてほしいなって思います。
文登:ね。日本を代表する百貨店で“キュニキュニ”が彩ってますので、ぜひ。
崇弥:今回「アザラシ」と「写楽」という作品をですね、見ていただけますので。木村さんが世界一好きなアザラシが公開されておりますので、ぜひお越しいただけたら嬉しいです。
Masahiko Kimura「写楽 3」
小川:「写楽」もまたかっこいいですね〜!
崇弥:本当にかっこいいですよ。 100%売れると思います。
小川:写楽の顔の中にも“キュニキュニ”がたくさんいて、ちょっとずつグラデーションになってるのがかっこいいですよね。
崇弥:本当おっしゃる通りで、まさに同じ青でもまた違う陰影の付け方みたいなものを“キュニキュニ”でも作られていて、本当に魔術師ですよね。
小川:木村さん、この「写楽」はどうやって描いたんですか?
木村さん:写楽。
中島さん:覚えてる? これ。「写楽」はどうして描いたんですか?
(木村さん、なにかジェスチャーをしている)
文登:たぶん、描いてるのかな。
中島さん:「写楽」は3作目なんですけど、一つ目はそんなに緻密ってわけじゃないんですけど“キュニキュニ”が描かれてて、2作目はちょっと“キュニキュニ”が入れ墨みたいに入ってて。三つ目は最近作といっても5年ぐらい前なんですけど、それはすごい色彩豊かな作品です。写楽って言っても、全然違う作品に見えますよね。
Masahiko Kimura「写楽」
小川:木村さんのこれからやってみたいこととかってありますか。
中島さん:なにをやってみたい?
木村さん:なにを? えーっと、写楽!
崇弥:第4作!
木村さん:もういっかい!
中島さん:もう1回描きたいそうです。
文登:もしも描いていただけるんだったら、うちでぜひ予約させてください!
崇弥:これからも「写楽」よろしくお願いします!
小川:そういえば「アトリエやっほぅ!!」には、他にもヘラルボニーの契約作家さんがいらっしゃるんですよね?
崇弥:そうなんですよ。これからこのポッドキャストにも出てくるかと思います。今人気なのはね、肥後さんっていう作家さん。肥後さんの作品は水彩画が落ちたような、色とりどりの緑の模様のような素敵な作品なんです。それが今クッションになってたりだとか、ボトルになってたりだとか、いろんな形で展開されています。あと、私も作品保有させていただいてる小久保さんっていう作家さんは、オイルパステルを使って、ゴリゴリと強い筆圧で描く作家さんもいらっしゃいます。本当にたくさん素敵な作家さんがいらっしゃるんですよ。
小川:ぜひ今後もよろしくお願いします。ということで今日は、木村全彦さんと「アトリエやっほぅ!!」の中島さんにお話を伺いました!ありがとうございました!
木村さん:よろしくお願いします。
中島さん:ありがとうございました。
text 赤坂智世
木村全彦 Masahiko Kimura
アトリエやっほぅ!!︎(京都市伏見区)所属。強い筆圧でぐいぐい。キュニキュニと呼ばれる独特のくさび型模様を編み出した。そのため、絵には奥行きは奥行、立体感が生まれる。絵の題材は動物から静物画まで様々だが、どの作品も彼独特の画風で異彩を放っている。作品は国内外で評価されるが、本人は外界の雑音には無頓着。
『HERALBONY TONE FROM MUSEUM〜聴く美術館〜』は無料で配信中
「アートから想像する異彩作家のヒストリー」をコンセプトに、アートに耳を澄ませながら、作品の先に見えるひとりの”異彩作家”の人柄やこれまでの人生に触れる番組です。
役者・映像作家・文筆家として活躍する小川紗良さんと、ヘラルボニーの代表取締役社長の松田崇弥の2名がMCを担当。毎回、ひとりのヘラルボニー契約作家にフィーチャーし、知的障害のある作家とそのご家族や福祉施設の担当者をゲストにお迎えしています。
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