ファッションのプロがHERALBONYのアイテムをまとったら? カラフルでアートフルなプロダクトを、プライベートな日常で、どのように着こなすのでしょう。この企画では、その方に選んでいただいた1品を、その方のセンスで私服と合わせて着こなしていただき、着こなしのポイントを教えていただきます。
今回はInstagramのフォロワー数は34万人、大人の女性ならば誰もが憧れるスタイリストの大草直子さんが登場。 HERALBONYの定番人気アイテム「シルクスカーフ」をアレンジしていただきました。
スタイリスト 大草直子
大学卒業後、現・ハースト婦人画報社へ入社。雑誌『ヴァンテーヌ』の編集に携わった後、独立。現在は、ファッション誌、新聞、カタログを中心にエディトリアルやスタイリングをこなすかたわら、 トークイベントの出演や執筆業にも精力的に取り組む。新著『見て触って向き合って』(マガジンハウス)。2019年にはメディア『AMARC(アマーク)』を立ち上げ、「私らしい」をもっと楽しく、もっと楽にするために。ファッション、ビューティ、生き方のレシピを毎日お届けしている。2021年には、「AMARC magazine」を発刊。Instagram:@naokookusa / Website:「AMARC」
シックな秋のカジュアルスタイルに彩りを添えるアートなスカーフ
数ある商品の中で大草さんが選んでくださったのは、異彩作家・吉田 裕志(Hiroshi Yoshida)の作品「ヴェネチアのフルーツ船」のシルクスカーフ。今年スカーフに新しく起用された作品のひとつです。
シルクスカーフ「ヴェネチアのフルーツ船」
Hiroshi Yoshida
¥22,000/ 税込
Style1:アートならではのアシンメトリーな色柄を大胆に生かしたデニムスタイル
<合わせたアイテム>
ジャケット:セリーヌ
タートルネック: AMARC LIFE STORE
バッグ:エルメス
デニム:アッパーハイツ/カズン
大草:このスカーフは、1枚のアート作品だからこその非対称さが、とても魅力ですよね。スカーフでも、古典柄だと左右対称で、綺麗にまとまりがちなんです。それはそれで良いのですが、このように一枚の絵がモチーフになっているものだと、折った時の非対称さによって、出てくる色が変わるので、使い方でアレンジが効くのが面白さだと思います。
スカーフを、バッグの両サイドに結んでハンドル代わりに。肩からかけると、このように、大胆に色柄を纏えます。シックな色味がたくさん混じり合った一品なので、ツイードジャケットやデニムにも、すんなりとマッチ。
スカーフは、大きく使うと絵そのものをまとうような気分になれるし、小さく使うといろんな色が出てくる楽しさがあります。布のアイテムって、みなさん遠慮がちに使いがちなんですが、意外としっかり縛っちゃったりしても大丈夫! むしろ私は「大胆さが布を制する」と思っていて、意識して大胆に使うことが、スカーフなどの布モノのおしゃれのコツだと思っています。布の特性上、変幻自在。自由に形を変えてくれるので、大胆にぎゅっと結ぶ方が、自分の体にも馴染んでくれるんですよね。特にHERALBONYのスカーフは、シルク素材が柔らかいので、とても結びやすいし、馴染みやすく、どなたでも使いやすいと思いますよ。
大草:ハンドルに巻くのも良いですが、こんなふうにハンドルそのものにして使うのが、私流。絵柄が大胆に支えて、スタイルを映えさせます。柔らかく、さらっとした素材感のシルクスカーフは、体に馴染みやすく、使いやすいです。
Style2:黒のニットワンピースをキャンバスに、マルチカラーなチョーカー風にまとう
<合わせたアイテム>
ワンピース/Curensology for AMARC (AMARC LIFE STORE)
靴/ アミナ・モアディ
バッグ/ボナベンチュラ
大草:面積の大きなブラックのワンピーススタイルに、マルチカラーのスカーフをチョーカーのようにまといました。その昔、雑誌の編集者時代に、「スカーフの70変化!」という企画をやったことがあって。ベルトにしたり、頭に巻いたり、リボンしたりなどと70体も、散々色々とやったことがあり(笑)。その時に、スカーフは大胆さが大事なんだと気付いたんです。このルックでも、スカーフを思い切って大胆に“きゅっ!”と捻って、結んで、チョーカー風にしています。
このスカーフはなんといっても、色味が素敵。ネイビーが基調色となっていて、黒に見える部分も、真っ黒ではなく、グレーに近かったり、グリーンに近かったりする絶妙なベースカラー。そこに、ヴィヴィッドな黄色が映えていて、ヨーロッパ的な色彩にも感じます。色が顔周りにあると、顔色も映えますよね。サイズも一番使いやすいベーシックなサイズです。
大草直子さんのチョーカー風スカーフの巻き方レッスン
スカーフには様々な巻き方がありますが、今回大草さんが選んだのは、チョーカー風に首にくるっと巻きつける方法。結び目は、中に織り込んでコンパクトにすることで、すっきりとした印象ながら、様々な色味がランダムに見えて、美しく映えます。今回、特別にチョーカー風スカーフの巻き方を教えていただきました。
①三角折りから長方形に畳み棒状に。両端を持って後ろから前に持ってきて、前でクロスしたら一回捻って、また後ろへ。
②後ろでもう一回クロス!
③再度前に持ってきて、小さく結んで。
④飛び出たところは、中に隠して出来上がり!カラフルなスカーフ・チョーカーの完成。
HERALBONYのプロダクトには、アートの本質を思わせてくれるパワーを感じます
大草:今回プロダクトを見させていただいて、障害のある方が生み出したとかどうかではなく、純粋に、デザイン性やカラーリングなど、物自体が持つ美しさやメッセージ性にまず心奪われました。本来ピカソにしろゴッホにしろ、ちょっと 人と違う面があるのが、アート本来の性質であり、素晴らしさでもあります。それを、おしゃれに、ファッション性も重視して、プロダクトとして上手にマッチングされているところが、素敵ですね。
ファッション業界では、マーケの視点から市場の動向や、売れるものを分析し、そこから導き出されたプロダクトを生み出すという側面もありますが、これは、真逆。まずは作品ありきで、作品の魅力から生み出されていますよね。そのオリジナルさと、ピュアなメッセージを強く感じました。
このスカーフをまとっていたら、外国人に話しかけられそう!とも思いました。唯一無二のデザインを身につけることで、人と人を結びつける、コミュニケーションツールにもなるんじゃないかしら。作品一つひとつにストーリーがあるので、楽しい会話が生まれそうです。
写真/石野 千尋
企画構成・文/田口 まさ美(Starflower)